smabat ST10のレビュー
今回紹介するのはsmabatのST10
ダイナミックドライバー (DD)を一基搭載した1DDのインナーイヤー型イヤホンになります。外耳炎になりカナル型を使うのが辛くて思わず買ってしまった人生で2本目のインナーイヤー型です。NICEHCKより10541円で販売されています。
◎外観及び装着感について
筐体は渋い「和」を感じさせるような深緑色と黒色の組み合わせで、高級感があります。個人的にはとても好みで、所有欲が満たされます。公式の商品画像よりも実物の方が渋さがあるように感じました。
装着感について、本製品は筐体が耳掛け式を前提とした作りになっていて、付属のケーブルも耳掛け式を想定したクセが付いています。最初はこれに多少の違和感を覚えましたが、しばらくベストポジションを探るうちにかなりしっくりくるようになりました。慣れてしまえば問題なく装着することができるでしょう。
遮音性や音漏れの程度はインナーイヤー型であるため悪いですが、この点は仕方がないといえますね。
◎音質面について (再生環境はFiiO M11、イヤーパッドは付けずに聴きました)
音質は全体的にフラットで解像度が高く、かつかなりドライな傾向があります。曲を「じっくり表現する」というよりも「淡々と捌く」というイメージが適切なイヤホンであると感じました。この音の傾向が個人的にはかなり気に入っています。
高音域は全く曇りを感じさせず、クリアに鳴ります。他方で前に出すぎることもなく「ギンギン感」はありません。刺さりがかなり苦手な方である筆者でも心地よく聴けました。
中音域は上記の「淡々と捌く」イメージを1番強く感じた部分です。よく言われる「ボーカルの艶」などの表現は苦手といってよいでしょう。しかしながら、音数の多い演奏をごちゃごちゃさせずに鳴らしきる力には拍手を送りたいです。
低音域は量自体は控えめですが、独特の沈み込み感があります。耳の中で低音がドゥンと震えるのを感じるとることができ、聴いていてかなりクセになります。この低域の質は本製品の大きな魅力の1つといえます。
本製品はリケーブルが可能となっており、お好みのケーブルで音を変えることができます。また、耳掛け式のクセのついていないケーブルに変えることで普通に装着 (耳掛けじゃない装着法の呼び方がわからん)ができるかもしれません。筆者は装着に違和感があったのでできませんでした。現在筆者はNICEHCKのエナメル銅線と高純度OFC線のミックスケーブルを使用しています。全体的に明瞭度が増して本製品の力を底上げすることができていると感じます。他にも相性の良いケーブルはあると思います。
◎総評
本製品はその淡々と音を捌く性格上、濃密濃厚な音を好む方にはウケないと思いますが、音数の多い音楽を好む方やドライさを好む方は相当気に入ると思います。ヱビスビールよりスーパードライ派という方にはかなりオススメできます (ちなみに筆者はサッポロ黒ラベル一神教です)。1万円のインナーイヤー型ということで決して安くはないですが、初インナーイヤーや低価格からのステップアップにいかがでしょうか!!