嗚呼素晴らしき我が人生

自分の思ったことを文字にする練習として諸々のレビューをしていきたい

moondrop spaceshipのレビュー

今回紹介するのはmoondropのspaceship


片側にダイナミックドライバー (DD)を一基搭載した1DDのイヤホンになります。価格はAliexpressのmoondrop official storeで2151円です。ツイッターで高評価なのをチラホラ見かけたので、2000円で買いやすいというのもあり勢いで買ってみました。


◎外観面および装着感について

  筐体はコンパクトな楕円形かつメタリックで、まさしく商品名の通り「宇宙船」を彷彿とさせるデザインです。シンプルな外観はシーンを選ばずに使うことができるでしょう。特段チープさを感じることはないですが、「まぁこんな感じだろうな」という印象です。下手に凝ったアーティスティックな外観よりは全然良いです。

  装着感は完全にイヤーピース依存です。付属のモチモチとしたイヤピは中々高クオリティなので、大きさが合いさえすればイヤピ交換の必要はないかもしれません。私はどのサイズもしっくりこなかったのでイヤピ探しの旅に出ました(その結果、acoustune AET07にたどり着きました)。ノズル部分に返しが付いていないため、イヤピはかなり抜けやすくなっています。外で使用する際は注意が必要です。耳掛け式の装着も問題なくできました。音漏れに関しては常識的な使用であれば問題ないでしょう。

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◎音質面について (再生環境はFiiO M11、イヤピはacoustune AET07)

  音質面は全体的に特に強調されている音域がないフラット気味なバランスで、かつキレのあるタイトな音を出してくれます。解像度も中々で、音場も適度に広いです。この音のバランスがかなり絶妙で、低価格帯としては最強クラスの優等生であると感じました。

   高音域は刺さらずしっかり鳴り、響きが良いです。個人的には金属筐体由来の音の響きはあまり得意ではないですが、本製品の響き方はわざとらしさがなく好印象です。

  中音域は、フラット気味のバランスの中で (あえて言うのであればというレベルですが)1番フォーカスしている音域であるといえます。こちらも高音域と同様にわざとらしくない程度の響きがあり、特に女性ボーカルとの相性が良好であると感じました。他方で激しい音楽におけるギターの圧の表現はあまり得意ではないなと感じました。

  低音域はやや控えめという印象を受けますが、しっかりと引き締まった分離の良い音を出し、スピード感がある曲との相性はかなり良いです。この低音が本製品の「タイトな音」の印象を作り上げています。全体的な音のバランスを考えると、低域の量は「これでいいのよこれで」という感じですね。これ以上強調させると絶妙なバランスが崩れてしまうと思います。重たい音楽でズンドコさせたい場合は他のイヤホンに活躍の場を譲りましょう。

  低域の量感に関しては、しっかりと装着しているか否かで大分印象が変わるところであると思います。付属のユーザーガイド (なんか可愛い女の子?が描かれているやつ)が推奨している耳奥にググッと入れ込む装着方法だとかなり低音の主張が増します。低音にピンとこない方はイヤピのサイズを1段階落として耳奥に入れ込むのを意識したら改善するかもしれません 。 (もっとも、個人的にはかかる装着法をしても上記の通り低音域はやや控えめという印象でした)

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◎総評

  本製品は約2000円という低価格ながら非常に優秀なサウンドバランスで、私の中では「低価格機最強クラス」という位置付けとなりました。本製品という高いハードルができてしまったおかげで今後低価格機を購入する意欲が出るかどうか…といったお財布的には有難い懸念が生まれるほどには気に入りました。主な購入手段がAliexpressになってしまうという点は地味に心配な点ですが、理解のある方は是非是非試してみてください。




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NICEHCK NX7のレビュー

今回紹介するのはNICEHCKのNX7

  片側にバランスド・アーマチュア (BA)をドライバー4基、ダイナミックドライバー (DD)を二基、セラミック振動板ドライバーを一基搭載したハイブリッドイヤホンです。価格はAmazonで8590円で、本記事執筆時点では15%OFFのセールが開催されています。色は黒と青があり、私は青を購入しました。

  非常に変態的なドライバー構成と他社製品を引き合いに出した宣伝がTwitter上で話題を引き起こしていましたね。個人的には振り切ったビッグマウス宣伝は嫌いじゃない (良いか悪いかは別問題)のでついつい購入してしまいました。


◎外観面及び装着感について

  フェイスプレートは光沢を抑えた鈍色で、個人的にはチープな印象を覚えました。「NX7」の表示も絶妙にダサさを引き出しており、うーんといった感じです。公式のイメージ画像よりもチープさが目立つように感じました。低価格帯とはいえない領域にあるので、もうちょっとカッコ良かったらいいなぁというのが正直なところです。

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  シェルの方は綺麗な青色で、7つドライバーが詰め込まれているにしてはかなりコンパクトです。このコンパクトさのお陰で装着感はかなり良好で、長時間の利用も問題ないでしょう。音漏れは一般的なカナル型の平均よりもやや漏れやすいように感じますが、常識的な音量であれば問題ないと思います。

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◎音質面について (再生環境はFiiO M11、イヤーピースは丸七 長楽)

  音質面は全体的に中高音寄りのスッキリ&派手系かつ高解像度、そして適度な音場の広さと非常にバランスが良い印象です。他社製品を引き合いに出さなくても十二分に売り上げが見込めるのではないかと思う程には「当たり」であると感じました。

  高音域については、見通しが良く抜けと解像度も申し分ないレベルの高い音を出してくれます。特に超高域に分類されるようなドラムのシンバル等の音の質感と量が非常によく、強めの主張であるにもかかわらず激しい曲でもあまりうるさく感じないというラインにうまく位置付けられています。個人的には本製品の1番のアピールポイントだと思います。解像度が高いので「なんかよくわからんけどシャンシャンいってら」みたいな感じにならないのも好印象です。

  中音域はスッキリとした印象で、ギターの歪みや圧、ボーカルの艶などの表現は苦手だと思います。しかしながら、このスッキリさは強みである高音域の質感に合っているのでデメリットにはなりません。また、ボーカルの響きに独特なものがあり、この点もクセになります。

  低音域は、量は必要最低限ですがタイトな音を出してくれます。スピード感のある曲で真価を発揮する印象でした。大抵の曲でそこまで不満に思うことはない気がしますが、デスコアやスラムデスなどの「重い音楽」ではインパクトに欠けます。デスコア好きとしてはもう少し沈み込みと量感があれば……という感じですが、これはリケーブルでかなり補えるところではあります。

  リケーブルについては、NICEHCK CT4 (16芯高純度無酸素銅ケーブル)が手軽に情報量とメリハリを向上させることができ、相性が良いと感じました。また、NICEHCKのエナメル銅線&高純度OFCミックスケーブル (所謂キンバー風ケーブル)と組み合わせることで、低音の量感と質を一定程度向上させることができました。加えて、YYX4810等の単結晶銅ケーブルを用いれば低音の量、キレなどを大幅に向上させることができ、更に隙のない音を出すことができます。

  単結晶銅線については本製品と同じくらいの値段がかかってしまうので、本製品用にケーブルを買うのであればCT4かキンバー風で良いように思います (もちろん他にも相性の良いケーブルはあると思います)。リケーブル必須の製品というわけではないですが、低音に不満を覚える方はリケーブルをお勧めします。

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☆他製品との比較

  NICEHCKの中高音寄り高解像度を売りとする製品に、1BA +1DD+1平面磁気ドライバーのF3があります。F3はアルミ合金製のシェルを用いている点、音の響きという点では本製品はF3よりも大きく劣りますが、F3の高音ギンギンのサウンドよりも本製品のサウンドの方が聴きやすく、全体的なバランスでは本製品の方が優れていると感じました。もちろんこの辺りは好みの話ですが、本製品はF3の高音が苦手だった方にも聴いていただきたいです。

  また、本製品の宣伝文句に「KZ AS16より全然良い」みたいなフレーズがあったような気がしますが、片側8BAによる音の厚みが強みであるAS16とスッキリ系である本製品を単純に同じ土台で比較することは難しく、これはもう単なる好みの問題であると考えます。


◎総評

  本製品は主にその宣伝方法によって話題になってしまった感がありますが、物そのもののクオリティは高く、オススメもできます。流石に宣伝文句のように15〜20万円クラスに匹敵というわけにはいきませんが、これで1万円以下クラスであれば、たとえ「変態的ドライバー構成が出す音を知りたい」という理由だけのために買ったとしても損はないと思います。是非!



TWS X19のレビュー

今回紹介するのは  TWS X19


  Nex Audioから販売されているトゥルーワイヤレス (完全ワイヤレス、左右分離型 )イヤホンです (以下ではTWSという略称で統一 )。今回はNex Audioからサンプル品の提供を頂きました。価格はAmazonで5000円です。私自身初のTWSなので他のTWS製品との比較の視点でレビューすることはできないことをあらかじめご了承ください。


  ※上述の通り今回はレビュー依頼という形でサンプル品の提供を受けています。自発的に購入したものでない点、「サクラレビュー」を疑われる方もいるかとは思いますが、「本記事はサクラでなく本心からのレビューである」ということの証明は不可能です。したがって、この点に関しては「提供を受けた」という事実を明示するのみにとどめ、内容は皆様の判断に委ねることとします (ていうかそれ以上の措置は不可能 )。今後仮にレビュー依頼を受けることがあった場合も同様とします。


◎外観面及び装着感について

  外観は非常にシンプルな黒色で、本体や充電ケースのどこを見てもブランドロゴすら見当たりません。このシンプルなデザインは普段使いがしやすいと捉えれば良い点となりますね。他方でもう少しおしゃれな感じが良いと思う方もいるでしょう。私は前者でした。公式の商品写真との差はありません。

  また、大きさは充電ケースを含め非常にコンパクトで、外出時の負担になることは無いと思います。このコンパクトさは好印象でした。

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  装着感は、コンパクトな本体なだけあり中々良好です。イヤモニ型のイヤホンに慣れている方なら問題ないでしょう。音漏れは満員電車で密着している状態だとキツイかな程度で、音量に気をつけていれば大丈夫だと思います。


◎操作性等の機能面について

   (基本スペック等はAmazonの商品ページからご確認ください。)

  本製品は充電ケースから取り出すと自動的に電源がオンになりペアリングをし、充電ケースに戻すと自動的に電源がオフになる仕様となっています。したがって、プレイヤー側のBluetooth設定をオンにしておけば後はケースから取り出すだけで音楽を聴ける状態になります。私自身初のTWSで、かつ不器用ということもあり操作面が不安でしたが、とてもスムーズに使用することができました。この点はかなり使い勝手が良く、普段使いの際のストレスが最小限で済みます。

  曲の操作等は本体の物理ボタンで行います。以下で操作を簡単に紹介します。


・左耳:1回押す→曲の再生/停止 、2回押す→前の曲へ、3回押す→音量を下げる

・右耳:1回押す→曲の再生/停止、2回押す→次の曲へ、3回押す→音量を上げる


  ボタンを押す回数で操作が分かれていますが、複雑なものではなくすぐに覚えられる程度のものです。この辺りも使い勝手は良いですが、物理ボタンを押す際の「カチカチ」という音がやたら耳に響いてしまうのは結構なストレスで、かなり残念な点だと思います (もっとも、これは本製品固有の欠点というわけではなく、およそ物理ボタンを採用しているTWS一般にあてはまる点でしょう)。

  通信の安定性については、一般的な駅や街中等では途切れは確認できませんでした。通勤ラッシュ時や大都会となると話は別かもしれませんが、おそらく途切れに関して過度なストレスは感じないのではないかと思います。

  遅延については普通に音楽を聴く、動画を観る分には問題ないと思います。しかしながら、音ゲーアプリ等を遊ぶには若干厳しいなという印象です (アプリゲーム「Deemo」で確認 )。一瞬の油断やズレがが死を招く音ゲーでの使用はオススメできません。


◎音質面について (再生環境はiPhone XR、イヤーピースはRHAのデュアルデンシティ シリコンイヤーピース)

  音質面は非常に量感のある低音が特徴の重低音イヤホンという印象です。もっとも中高音域がモコモコこもっている訳ではなく、聴きやすいバランスでまとまっているといって良いと思います。

  高音域は主張控えめで突き抜ける感じはないものの、ドラムのシンバルを聴き分けられる程度にはなっており、必要最低限は確保されているという印象です。

  中音域は、それ自体はしっかりと主張しており絶対的には物足りないということはないのですが、低音の主張が凄まじいため低音に食われかけているという印象です。しかしながら、後述の通り外での使用となるとバランス良く収まり、かなり印象が良くなります。

  低音域は非常に量感とインパクトがあり、強く主張をします。重たい音楽を好む「低音厨」の私からすると、この低音が音全体にドッシリとした印象を与えることによって、チープな音になるのを防いでくれているのだと感じました。他方で、低音出すぎでしょ!と感じる人もかなりいるのだろうなという印象です。

  しかしながら、この人によってはデメリットとも捉えられ得る低音については、外での使用、特にバスや電車等の騒音がかなり発生する状況下での使用の際には適度に抑えられ、結果としてかなりバランスが良く聴きやすい音となります。「電車の中で聴くと低音が消失するんじゃぁ…」という事態がないため、お家でじっくりと聴く用というよりは、普段使いとして通勤や通学に用いるのが音質的にもベストといえるでしょう。

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◎総評

  本製品は最近大流行りのTWSを5000円という低価格で楽しめるものです。見た目や基本的な操作面などは人を選ばない非常に使い勝手がいいもので、音質面についても外での使用に向いたものとなっています。流石に有線5000円の価格帯と肩を並べる音質という訳にはいきませんが、無線の便利さを考慮すればこれで5000円は優秀である思います。普段使いメンバーの一員に加えてみてはいかがでしょうか。




NICEHCK ME80のレビュー

今回紹介するのはNICEHCKのME80


aliexpressのセールで9.9ドルの福袋イヤホンとして販売されていたものになります。現在は1834円で販売されているようです。今まで紹介してきたカナル型のイヤホンとは異なり、本商品はインナーイヤー型のイヤホンです。私自身インナーイヤー型は初めてであり、他のインナーイヤー型との比較の視点でレビューできないことを事前に言っておきます。



◎外観面及び装着感等について

  外観はシンプルかつ落ち着いており、鈍色に輝くデザインはチープさを感じさせません。下手に凝ったデザインよりこちらの方が好印象です。公式の商品写真よりもどこか渋い印象を受けました。個人的には実物の方がカッコ良さを感じます。

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   装着感は一般的なインナーイヤー型に準ずるものとみてよいでしょう。私はインナーイヤー型の、耳介に置くようにして装着するスタイルがイマイチうまくいかず、そのせいでインナーイヤー型は敬遠していたのですが、数分の試行錯誤でベストポジションを見つけることができました (やはり店頭での数十秒の試聴ではわからない点もあるのだなぁと実感させられました )。普段インナーイヤー型を付け慣れている方なら何ら問題はないと思います。


◎音質面について (再生環境はZiShan DSD)

  音質面は解像感とキレが強みで、インナーイヤー型特有の音場の広さと相まって非常にバランスの良い出来上がりになっているという印象です。上述の通りインナーイヤー型は初ですが、私が勝手に抱いていた「強いインナーイヤー」のイメージに合致した完成度の高い製品であると感じました。

  高音域はそこそこの主張をしつつ解像度も高く質が良いです。ドラムのシンバルは音場感の広さもあり臨場感があり、ライブ感を味わえます。

  中音域 はスッキリしていますが、ボーカルやギター等の演奏も埋もれることなく鳴らしてくれます。こちらも広い音場との相性はかなり良く、バンドサウンドを聴くとクセになります。 (もっともこの点は本製品の強みというよりはおよそインナーイヤー型一般に通ずる強みなのかもしれませんが、初インナーイヤーなのでその辺りの判断はできません )

  低音域は必要最低限という印象です。私はメタルコア/デスコア等のいわゆる重い音楽を好んで聴きますが、これらのジャンルを聴く分にもまぁこの程度の低音があれば不満はないかなという感じです。解像感はかなり良く、「なんかわからんけどブリブリ鳴ってるわ」みたいな感じではないのが好印象です。

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◎総評

  本製品は1000円ちょい (現在は1800円程度)という超低価格帯とは思えない程非常に良い音のバランスで、インナーイヤー型の良さを手軽に体感できるものとなっています。私自身本製品のお陰で今まで敬遠してきたインナーイヤー型に興味を持ち始めました。新たなる沼に足首を掴まれた感覚はとても心地いいですね  ()  実際同価格帯のカナル型と比べてもトップレベルの音なのではないかと感じます。

  インナーイヤー型を試してみたいという方、普段使いで1つ安めのやつが欲しいという方、よくわからんけどちょっと金使いてぇわという方にはベストな選択肢だと思います。

  

  

松屋 創業ビーフカレーのレビュー

今回紹介するのは松屋 創業ビーフカレー


牛丼チェーンの「松屋」から2019年6月4日より発売された商品です。

「創業当時の味を再現し、牛バラ肉をとろとろになるまで煮込みました」という宣伝文句とともに非常に完成度の高そうなカレーの広告を松屋公式サイトや松屋店内で見ることができます。値段は並盛りで490円です。

松屋のカレー」は一定の固定ファンがついている印象であり、私自身もファンの1人です。大好きな松屋のカレーの創業当時の味となればこれは食わないわけにはいかん!と絶大な期待を抱きつつ店に向かいました。


  見た目はほぼ満点と断言してよいドロドロ系で、具材は何が入っているかわからないレベルで溶け込んでいます。唯一判別がつく程度に形が残っている牛バラ肉も、スプーンでつつけばすぐに崩れそうな感じです。「具材ゴロゴロ系」を好む方は眉をひそめるかもしれませんが、この際具材の形状のこだわりは捨てた方がよいでしょう。それほどまでに後述する味の面が「最強」です。

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 味は端的に言って完璧です。粗探しをしながら食べても粗は見つかりませんでした。口に入れた途端、ルーに溶け込む具材 (特に玉ねぎ)の旨味や甘みがじわじわと広がり、「味の深み」という言葉が有する本当の意味を知ることになります。

  そしてメイン具材である牛バラ肉は、噛んだ瞬間ほろほろと口の中で解け、肉の旨味をばら撒きます。ただし、ただ無作為に、無作法にばら撒いているのではありません。ルーと他の具材の「味の隙間」を狙い、更に完成された味になるように旨味を補完し、かつしっかりと舌に肉感を残すように旨味をばら撒くのです。この、旨味の後方支援をしつつも前線でしっかり活躍する働きは並大抵の兵士では不可能です。まさに口内という「戦場」においては「武神」と呼ぶにふさわしい存在です。

  そのようにして舌が「味の深み」に沈み込み、その極上のハーモニーに包まれていると、次はスパイスの香りと刺激がこれもまたじわじわと主張してきます。綺麗な薔薇には棘があるのと同様に、美味しいカレーにはスパイスの刺激があるのです。しかしながらこの刺激は薔薇でいうところの棘とは少しばかり役割が違う点があります。専ら近づくものを傷つけ、自分を守ろうとする薔薇の棘とは異なり、スパイスの刺激は食べるものを更なる「味の深み」の渦に誘い、「究極の味覚体験」の土台を築く役割を担っているのです。創業ビーフカレーは具材の持つ旨味とスパイスの刺激の配分、主張するタイミング等が完璧な調和をなしており、「カレーとしての到達点」であるといえます。


  また、プラス100円でチーズをトッピングした「創業チーズカレー」も試してみました。上述した「味の深み」にチーズのコクとまろやかさが加えられ、濃厚特化型に姿を変えたカレーはかなり完成度が高いですが、個人的にはデフォルトの黄金比を超えることはできないと感じました。まったり好きの方はこちらが刺さるかもしれません。

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「確かに美味しいけど、カレーではない/カレーとは別物」と考える人が多い印象がある松屋カレーですが、本商品は万人が考える「カレー」の範囲内で美味しさの極致に達したというイメージです。是非みなさん食べてみてください。



1216.ears 2EVのレビュー

今回紹介するのは1216.earsの2EV


  バランスド・アーマチュア (BA)ドライバーを二基搭載した2BAのイヤホンになります。

  1216.earsは香港の (おそらく)個人経営のカスタムメーカーで、オーダーをするにはTwitterfacebookでコンタクトを取る必要があります。今回私は「本日限りのセール!」というTwitterでのツイートにまんまと釣られてDMでコンタクトを取り、本製品の購入に至りました。日本語でのコミュニケーションは不自由なく行えるため、言語的なハードルは高くはないでしょう。本製品はセール価格で28999円でした (元の価格は36999円とのことでした)。なお、支払いはPayPalのみで、手数料として1000円がプラスでかかりました。

  オーダーの際、2ピンかmmcxどちらかのコネクタを選ぶことができ、色は透明な青、赤、緑、黒、紫の中から選ぶことができました。今回私はmmcx&透明な赤でオーダーしました。完成までに40〜50日かかるとのことでしたが、42.3日目には手元に届きました (おそらくこの日数は他の受注数等次第で変動するのだろうと思います)。


◎外観面及び装着感等について

  筐体は個人で製作したものとはとても思えないレベルで完成度が高いです。もちろんよくよく見てみれば気泡等のアラは見つかりますが、そこまで気にするレベルではないと思います。逆に言えばこの辺りにとても神経質になってしまう方は購入をオススメできません。

  今回は「透明な赤」でのオーダーでしたが、しっかりと濃い赤に色付けされており、個人的には大満足です。透明な赤と聞いて薄い赤=ピンク色のようなものを思い浮かべると肩透かしを食らうでしょう。他の色はわかりませんが、しっかりと濃い色が出ると思っておいた方がいいような気がします。

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  装着感は人を選ぶというレベルではないものの、ノズルに相当する部分が長いためイヤーピースの模索は必須だと思います。本製品に付属しているイヤーピースは元々本体に装着されている1ペアのみだったので、これが自分にたまたま合ったという場合以外はイヤピ交換をすることになるでしょう。遮音性はそこそこ良く、音漏れは常識的な音量であれば気にするレベルではないと思います。

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◎音質面について (再生環境はOPUS ♯1S及びZiShan DSD、イヤピはスパイラルドット++)

  ※本製品は、「VISI◯N EARS」というドイツのブランドの「VE2」という製品の音を参考にして制作されたものです。私は元ネタの「V◯SION EARS VE2」を所有していないため、比較の視点からのレビューはできません。 (1216.earsでは他にも様々な有名ブランドの音を参考にした製品を作っているようです)

  音質は全体的にスッキリ系であるものの全音域しっかりと鳴り、キレも優秀なかなりの万能タイプに感じました。他方で音場感は狭めで、解像度もそこそこというレベルなので、曲を分析的に聴きたい方には向いていないかもしれません。

  高音域はかなり抜けと響きが良く、主張もしてくれます。私はあまり高音が主張してくる音を聴くと耳が痛くなってしまうのですが、本製品の高音は痛くならないギリギリでとどまっており、個人的にはとても良いバランスだなぁと感じました。ドラムのシンバルの響きは非常に優秀です。

  中音域も凹むことなく、むしろかなり主張をします。ボーカルは近めで、男女関係なく表現力は高いです。また、ギターの疾走感や刻みの表現も優秀で、メロデス/デスラッシュとの相性は抜群です。

  低音域は中高音域の主張に比べると若干おとなしいと感じますが、それでも必要最低限を楽に上回るレベルで鳴ります。ズドンと深く沈み込むようなものではないものの、曲をうまく支えるような 鳴り方をしており、低音が大好きな私も「これはこれでかなりアリだな」と思ってしまいました。

  リケーブルについては、手持ちのものではHiF4834(16芯単結晶銅ケーブル)がベストマッチでした。全体的な音のメリハリ、キレの良さ、情報量がかなりわかりやすく向上し、本製品がもつ元々の良さを更に伸ばしてくれました。他にも単結晶銅や無酸素銅系のケーブルとの相性はかなり良かったです。付属のケーブルでも十分楽しめるとは思いますが、どこか力不足感が否めないため、できることならリケーブルも試して頂きたいです。

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◎総評

  本製品は音質的にはとても優秀で、かつクセも少ないため、かなり人にオススメしたいと感じました。もっとも、購入の煩雑さや手元に届くまでの日数などを考慮するとどうしてもハードルは高いと言わざるを得ないです。また、3万円周辺の価格帯はライバルも多いように思います。しかしながら、それらのマイナス面を考慮してもなお魅力に溢れるものであると考えますので、気になる人は是非購入して頂きたいです。

  

ZiShan DSDのレビュー

今回紹介するのはZiShan DSD

  低価格・高音質・改造ができるという特徴を有し、一部の方々の間では非常に有名であろうデジタル・オーディオプレイヤー (DAP)です。価格はAmazonで約17000円、Aliexpressで約11000円となっています。


◎外観面について

  プラスチックケースに本体と充電用ケーブルが入ったその状態のまま届きます。外箱や説明書等は一切なく、ある種の清々しさすら感じさせます。この時点で無理な人は無理なのだろうと思います…

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  ボディは非常にコンパクトで、大体タバコの箱と同じ大きさです。しかしながら、そのコンパクトさとは裏腹に以外と厚みがあり (少年漫画の1.5倍程度)、ズボンのポケットに入れるとかなりキツキツになります。もっとも、持ち歩きの際に許容できないような厚さではないと思います。

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  正面部分には物理ボタンが5つあり、側面にはボタンがありません。タッチパネルでもないので、操作の全てはこの5つの物理ボタンで行うことになります (詳しくは後述)。

  画面は最近のスマホと変わらないような液晶画面を採用しているものに比べれば「一昔前」感は否めませんが、発色も良く特に不満に思うことはないでしょう。

  また、micro SDカードのスロットが1つあり、内容量を増やすことが可能です。地味に2.5mmバランス端子も搭載されており、低価格でバランス接続を試すことができます。


◎操作性等について

  前述の通り、操作の全ては5つの物理ボタンで行います。説明書が無いのでこの操作は自分でいじっていくうちに覚えるしかないでしょう。基本的な操作は以下の通りになっています (まだ把握しきれていない点もあるかもしれませんが、ご了承下さい)。新たに購入された方の参考になれば幸いです。


・上のボタン:①選択 (上)、② (再生画面で)ボリューム調節、再生モード変更、及びイコライザのオンオフ切り替えをする画面(以下「ボリューム等画面」)に移動

・下のボタン:①選択 (下)、② (再生画面で)曲選択画面に移動

・左のボタン:①前の曲へ、② (ボリューム等画面で)イコライザのオンオフ切り替え、③ (曲選択画面で)1つ上のフォルダ階層に移動、④ (曲選択画面で)再生画面に戻る (長押し)、⑤ (再生画面で)ホーム画面に戻る (長押し)

・右のボタン:①次の曲へ、②早送り (長押し)、③ (ボリューム等画面で)再生モード変更、④ (曲選択画面で)1つ下のフォルダ階層に移動

・真ん中のボタン:①決定、②再生/停止、③電源オンオフ (長押し)、④ (設定画面で)ホーム画面に戻る、 ⑤(ボリューム等画面で)曲再生画面に戻る


  以上、文字にすると多少ややこしくなってしまいますが、意外と感覚ですぐ覚えられる範囲であると思います。本ブログ執筆時点で購入から約2日しか経っていませんが、既に迷わずポチポチ操作できています。ネットで検索をかけると「操作性が悪い」という意見が多く挙がってるようですが、個人的にはそこまで悪いか?という感じです。 (もちろん操作性が「良い」とは全く思いません。)

  操作に関しての決定的な欠点は「巻き戻しができにい」点でしょう。講義や会議の録音を聴く際、「ちょっとここもう一回聴きたい!」となっても簡単にはいきません。個人的にはこれが購入前に最も知っておくべき欠点だと思います。

  また、曲と曲の間の無音をなくして再生する「ギャップレス再生機能」はありません。加えて、個人的には音量の上がり/下がりの幅が大きく感じており、故に人によっては「音量9だと若干小さいけど、10だと若干大きい…」みたいな事態が生じ得るでしょう。

  このように、細かいところを詰めていけば色々他に比べて至らない点が出てくる製品だとは思います。しかしながらそれでも買う理由は、後述の音質面と改造できるという点でしょうか。


◎音質面について

  音質は、非常にドッシリとした骨太な音で、一音一音に余韻や広がりを感じるとても高品質なものとなっています。本製品には、数十万円レベルの高級機にも使われているAK4497というデジタル/アナログコンバーター (DAC)が使用されており、これが高音質の理由なのかもしれません (DACについての知識は全くないので言及はできません…)。これが本製品の1番の強みと言えるでしょう。

  上述の通り、一音一音の広がりが素晴らしいため、バラード等空間に浸らせる系統の曲との相性は抜群です。私は沢山のDAPを所持しているわけではないですが、これで1万円台は間違いなく価格破壊だといえます。他方で、「音の壁」が襲ってくるような音数が多くテンポが速い曲との相性はイマイチでしょう。ブルータルデスメタル、テクニカルデスメタルグラインドコア、ゴアグラインドあたりのジャンルをメインで聴く方はピンとこないかもしれません。

  また、本製品の骨太な音はイヤホンの音の印象をも変えてくれます。当ブログでもレビューしたKZ AS16について、私は低音が必要最低限を下回っていると感じ、どうしても「軽い」という印象を拭えませんでした。しかしながら、本製品と組み合わせて聴いてみると、私の感じていた「軽さ」が改善されてかなり好みにハマった音になりました。この他にも、何か軽いんだよなぁと思ってたイヤホンは本製品により生まれ変わったかのような音を鳴らしてくれました。

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☆改造について

  本製品の大きな魅力の1つとして、改造ができるという点があります。中の基盤を取り出し、オペアンプなどを交換することにより様々な音を楽しめるようです。私は現在「オペアンプとは何か」すらよくわかっておらず、かつ携帯のSIMカードを挿入するのにすら手間取ってイライラするレベルの不器用なので、改造に手を出すかはわかりませんが、もし改造をしたらまた手順や難易度、音質の変化などを追加でレビューをしたいと思います。


◎総評

  本製品は見た目や操作方法など様々な点でクセがあり、「万人にオススメ」はできないようなものです。しかしながら、このクセなど気にならないほどクオリティの高い音をだしてくれることも確かです。さらに改造による音質向上の途が開かられているなんて、個人的にはたまらなくロマンを感じます!!

  というわけで本製品は、コスパが良ければ多少癖はあっても良いという方、改造をしたい (している)方、ロマンを追い求める方、なんか面白そうなものに目がないという方におススメです。