嗚呼素晴らしき我が人生

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松屋 創業ビーフカレーのレビュー

今回紹介するのは松屋 創業ビーフカレー


牛丼チェーンの「松屋」から2019年6月4日より発売された商品です。

「創業当時の味を再現し、牛バラ肉をとろとろになるまで煮込みました」という宣伝文句とともに非常に完成度の高そうなカレーの広告を松屋公式サイトや松屋店内で見ることができます。値段は並盛りで490円です。

松屋のカレー」は一定の固定ファンがついている印象であり、私自身もファンの1人です。大好きな松屋のカレーの創業当時の味となればこれは食わないわけにはいかん!と絶大な期待を抱きつつ店に向かいました。


  見た目はほぼ満点と断言してよいドロドロ系で、具材は何が入っているかわからないレベルで溶け込んでいます。唯一判別がつく程度に形が残っている牛バラ肉も、スプーンでつつけばすぐに崩れそうな感じです。「具材ゴロゴロ系」を好む方は眉をひそめるかもしれませんが、この際具材の形状のこだわりは捨てた方がよいでしょう。それほどまでに後述する味の面が「最強」です。

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 味は端的に言って完璧です。粗探しをしながら食べても粗は見つかりませんでした。口に入れた途端、ルーに溶け込む具材 (特に玉ねぎ)の旨味や甘みがじわじわと広がり、「味の深み」という言葉が有する本当の意味を知ることになります。

  そしてメイン具材である牛バラ肉は、噛んだ瞬間ほろほろと口の中で解け、肉の旨味をばら撒きます。ただし、ただ無作為に、無作法にばら撒いているのではありません。ルーと他の具材の「味の隙間」を狙い、更に完成された味になるように旨味を補完し、かつしっかりと舌に肉感を残すように旨味をばら撒くのです。この、旨味の後方支援をしつつも前線でしっかり活躍する働きは並大抵の兵士では不可能です。まさに口内という「戦場」においては「武神」と呼ぶにふさわしい存在です。

  そのようにして舌が「味の深み」に沈み込み、その極上のハーモニーに包まれていると、次はスパイスの香りと刺激がこれもまたじわじわと主張してきます。綺麗な薔薇には棘があるのと同様に、美味しいカレーにはスパイスの刺激があるのです。しかしながらこの刺激は薔薇でいうところの棘とは少しばかり役割が違う点があります。専ら近づくものを傷つけ、自分を守ろうとする薔薇の棘とは異なり、スパイスの刺激は食べるものを更なる「味の深み」の渦に誘い、「究極の味覚体験」の土台を築く役割を担っているのです。創業ビーフカレーは具材の持つ旨味とスパイスの刺激の配分、主張するタイミング等が完璧な調和をなしており、「カレーとしての到達点」であるといえます。


  また、プラス100円でチーズをトッピングした「創業チーズカレー」も試してみました。上述した「味の深み」にチーズのコクとまろやかさが加えられ、濃厚特化型に姿を変えたカレーはかなり完成度が高いですが、個人的にはデフォルトの黄金比を超えることはできないと感じました。まったり好きの方はこちらが刺さるかもしれません。

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「確かに美味しいけど、カレーではない/カレーとは別物」と考える人が多い印象がある松屋カレーですが、本商品は万人が考える「カレー」の範囲内で美味しさの極致に達したというイメージです。是非みなさん食べてみてください。