嗚呼素晴らしき我が人生

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NICEHCK NX7のレビュー

今回紹介するのはNICEHCKのNX7

  片側にバランスド・アーマチュア (BA)をドライバー4基、ダイナミックドライバー (DD)を二基、セラミック振動板ドライバーを一基搭載したハイブリッドイヤホンです。価格はAmazonで8590円で、本記事執筆時点では15%OFFのセールが開催されています。色は黒と青があり、私は青を購入しました。

  非常に変態的なドライバー構成と他社製品を引き合いに出した宣伝がTwitter上で話題を引き起こしていましたね。個人的には振り切ったビッグマウス宣伝は嫌いじゃない (良いか悪いかは別問題)のでついつい購入してしまいました。


◎外観面及び装着感について

  フェイスプレートは光沢を抑えた鈍色で、個人的にはチープな印象を覚えました。「NX7」の表示も絶妙にダサさを引き出しており、うーんといった感じです。公式のイメージ画像よりもチープさが目立つように感じました。低価格帯とはいえない領域にあるので、もうちょっとカッコ良かったらいいなぁというのが正直なところです。

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  シェルの方は綺麗な青色で、7つドライバーが詰め込まれているにしてはかなりコンパクトです。このコンパクトさのお陰で装着感はかなり良好で、長時間の利用も問題ないでしょう。音漏れは一般的なカナル型の平均よりもやや漏れやすいように感じますが、常識的な音量であれば問題ないと思います。

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◎音質面について (再生環境はFiiO M11、イヤーピースは丸七 長楽)

  音質面は全体的に中高音寄りのスッキリ&派手系かつ高解像度、そして適度な音場の広さと非常にバランスが良い印象です。他社製品を引き合いに出さなくても十二分に売り上げが見込めるのではないかと思う程には「当たり」であると感じました。

  高音域については、見通しが良く抜けと解像度も申し分ないレベルの高い音を出してくれます。特に超高域に分類されるようなドラムのシンバル等の音の質感と量が非常によく、強めの主張であるにもかかわらず激しい曲でもあまりうるさく感じないというラインにうまく位置付けられています。個人的には本製品の1番のアピールポイントだと思います。解像度が高いので「なんかよくわからんけどシャンシャンいってら」みたいな感じにならないのも好印象です。

  中音域はスッキリとした印象で、ギターの歪みや圧、ボーカルの艶などの表現は苦手だと思います。しかしながら、このスッキリさは強みである高音域の質感に合っているのでデメリットにはなりません。また、ボーカルの響きに独特なものがあり、この点もクセになります。

  低音域は、量は必要最低限ですがタイトな音を出してくれます。スピード感のある曲で真価を発揮する印象でした。大抵の曲でそこまで不満に思うことはない気がしますが、デスコアやスラムデスなどの「重い音楽」ではインパクトに欠けます。デスコア好きとしてはもう少し沈み込みと量感があれば……という感じですが、これはリケーブルでかなり補えるところではあります。

  リケーブルについては、NICEHCK CT4 (16芯高純度無酸素銅ケーブル)が手軽に情報量とメリハリを向上させることができ、相性が良いと感じました。また、NICEHCKのエナメル銅線&高純度OFCミックスケーブル (所謂キンバー風ケーブル)と組み合わせることで、低音の量感と質を一定程度向上させることができました。加えて、YYX4810等の単結晶銅ケーブルを用いれば低音の量、キレなどを大幅に向上させることができ、更に隙のない音を出すことができます。

  単結晶銅線については本製品と同じくらいの値段がかかってしまうので、本製品用にケーブルを買うのであればCT4かキンバー風で良いように思います (もちろん他にも相性の良いケーブルはあると思います)。リケーブル必須の製品というわけではないですが、低音に不満を覚える方はリケーブルをお勧めします。

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☆他製品との比較

  NICEHCKの中高音寄り高解像度を売りとする製品に、1BA +1DD+1平面磁気ドライバーのF3があります。F3はアルミ合金製のシェルを用いている点、音の響きという点では本製品はF3よりも大きく劣りますが、F3の高音ギンギンのサウンドよりも本製品のサウンドの方が聴きやすく、全体的なバランスでは本製品の方が優れていると感じました。もちろんこの辺りは好みの話ですが、本製品はF3の高音が苦手だった方にも聴いていただきたいです。

  また、本製品の宣伝文句に「KZ AS16より全然良い」みたいなフレーズがあったような気がしますが、片側8BAによる音の厚みが強みであるAS16とスッキリ系である本製品を単純に同じ土台で比較することは難しく、これはもう単なる好みの問題であると考えます。


◎総評

  本製品は主にその宣伝方法によって話題になってしまった感がありますが、物そのもののクオリティは高く、オススメもできます。流石に宣伝文句のように15〜20万円クラスに匹敵というわけにはいきませんが、これで1万円以下クラスであれば、たとえ「変態的ドライバー構成が出す音を知りたい」という理由だけのために買ったとしても損はないと思います。是非!